すうがくなどについてのメモ

数学を調べたり、教えたり、教えてもらったことのメモです

「室外機問題」についての考察

こちらは12/6の日曜数学会のadvent calenderです。まず、投稿が遅れたことをtsujimotterさんにお詫びするとともに、このような機会を頂けたことを感謝します。また今回のテーマである「室外機問題」の考案者であり、この問題についてadvent calenderに書くこ…

Nekrasov-Okounkov多項式

Nekrasov-Okounkov formulaの$x^n(n \geq 1)$の係数として現れる$z$の多項式を$n$次のNekrasov-Okunkov多項式と呼ぶことにする。 私にとってNekrasov-Okounkov formulaは衝撃的で、Nekrasov-Okounkov多項式もきっと奥深い性質を持っているに違いないと思って…

Nekrasov-Okounkovの公式

調べ物をしていてすごい等式を知ったのでメモ。 Nekrasov-Okounkovの公式 $z$を複素数とする。 $$ \prod_{k=1}^{\infty} (1-x^k)^{z-1} = \sum_{\lambda \in \mathcal{P}} \left( \prod_{h \in \mathcal{H}(\lambda)}(1-\frac{z}{h^2}) \right) x^{|\lambda|…

射影平面についての導入的な話

この記事は 日曜数学会のadvent calender 21日目の記事です。 昨日はohtoyaさんの熱い記事でした。 自分の学生時代の数学の勉強を振り返って、何が難しかったかなあ、と考えると、まず「多様体難しかったな」と思うのです。何が難しかったかといえば、「何故…

今日の授業

今日の授業ではトポロジーの話題についてあれこれ話しているうちに、正$4g$角形の辺をうまく繋げると種数$g$の閉曲面ができる、という話になり、正$40$角形から種数$10$の閉曲面を作る次の動画に辿り着いた↓ www.youtube.com この動画、「$40$角形はやりすぎ…

今日の授業

今日の授業では、Gauss-Bonnetの定理の多面体バージョンとも言える(不足角についての)デカルトの定理について話した。この定理はとても好きな定理なので、面白さが伝わってくれると嬉しい。 また、先日書いた素数大富豪アドベントカレンダーで使ったpython…

$3$は$5$以上のフェルマー素数の原始根

この記事は インテジャーズのadvent calendar 7日目の記事です。 昨日の記事はコロちゃんぬさんによる「インテジャーズと私」というとても面白い記事でした。カスタマーレビューという発想が素晴らしかったです! こちらの記事では、今年のmathpowerの耐久企…

お前はすでに詰んでいる ~素数大富豪において素数が作れない手札の研究~

この記事は素数大富豪のアドベントカレンダー 7日目の記事です。 昨日は二世さんの「たかが山札、されど山札」でした。 素数大富豪を始めてから、これまで数え切れないほど素数大富豪で遊んでいるのですが、一向に強くなれないのがちょっとした悩みです。 た…

昨日の授業

昨日の授業では射影平面$P^2(\mathbb{R})$の話をしようとしたが、定義を話したところで生徒さんが$P^2(\mathbb{R})$が一点(無限遠点)と直線(無限遠直線)と平面に分解できることに気づき、そこから球面やトーラスを点、直線、平面に分解したらどうなるか…

数論幾何の勉強

知人のUさんから月に一回くらいのペースで数論幾何について教えてもらっている。今日はその日。 $L/K$:Galois、$X = \text{Spec } K$、$U = \text{Spec } L$とする。今日の内容は、$X$上のetale $\mu$-torsor $F$で、$U$で自明化されるものはどんなものか?…

今日の授業

今日は色々問題を考えたり解いたりしたが、生徒さんの気づきから発展して次のことがわかった: 「正の整数$n$に対して$2^n$の$10$進展開の先頭の数を$a_n$とする(つまり$a_n$は$1$から$9$の数)。この時$d=1,2,\cdots,9$に対して $$ \lim_{N \to \infty}\fr…

$R^2$内の二つの図形を同じとみなす見方

$R^2$内の二つの図形を「同じ」とみなす見方は色々ある。例えば二つの三角形が「合同」なときにその三角形を「同じ」と思いたくなったりするが、これはその二つの三角形が平行移動と回転、鏡映という変換で互いに移り合う時に「同じ」とみなす、という見方を…

今日の授業

今日の生徒さんとは先週に引き続きgeogebraを使って幾何で遊んだ。 三角形の内接円と辺との接点と、対となる頂点を結んでできる三本の直線は一点で交わる。これをジュルゴンヌ点というらしい。面白いのは一般の二次曲線でも同様の性質が成り立つことで、こう…

今日の授業

久々の更新。 今日の授業ではガロア理論の幾何学的な類似である被覆空間の理論についての導入をした。被覆変換群などについて話したが興味を持ってもらえたようでよかった。

今日の授業

今日は冒頭に生徒さんが思いついたことについて話を聞く。身近なものから数学的に面白そうな現象を抽出して、考察したことを話してくれた。 数学科の正規のカリキュラムで習う数学とは一線を画すような内容だったが、一緒に考えているうちに非可換な群との関…

今日の授業

リーマンゼータ関数についての授業。素数定理を証明するときに用いられるWiener-Ikeharaの定理を紹介した。ただ素数定理を示すのに使うだけだと味気ないと思い、ちょっとした応用についても紹介したところ、面白がって貰えてよかった。

今日の授業

留数定理を用いた積分計算に取り組んでいた生徒さんに、有理関数の各極での留数の和は「無限遠点での留数」まで含めると常に$0$となることを話したところ、とても面白がってくれてこちらも嬉しくなった。 今日は多様体のテキストの練習問題についても、私が…

今日の授業

今日の授業では$n$次対称群の共役類について話した。共役類が置換の型によって分類されるところに気づいた瞬間の生徒さんがとても嬉しそうで、こちらもテンションが上がった。 今日は逆に生徒さんからファノ平面というものを教えてもらった。生徒さんは気づ…

今日の授業

今日はガンマ関数が形式的には$\mathbb{C}[t]$上の作用素$t\frac{d}{dt}$の固有多項式と結びつけられることについて説明し、ゼータ関数についてのヒルベルト・ポリヤ予想について紹介した。 形式的な議論ではあるものの、レルヒの公式を通じてガンマ関数が$t…

$C^{\infty}$級と$C^{\omega}$級の違い

こないだの授業で、「何回でも微分できる関数は、テイラー展開可能なのか?」という質問をもらい、「いや、そうとは限らないよ」という話をした。 実際、$\mathbb{R}$上の関数 \begin{eqnarray}f(x) = \begin{cases}e^{-1/|x|} & ( x \neq 0 ) \\0 & ( x = 0…

今日の授業

今日は多様体についてあれこれ議論。分野的には幾何だが、テキストでは代数的なアプローチで議論している部分があり、その中で用いられていたベクトル空間の双対空間に関する事実を生徒さん自身に考えてもらう。最初に少しヒントを言っただけで、あとは自力…

今日の授業

今日の授業では、関数の合成に関する記法の話から脱線して、フレネル積分を紹介する流れに。私「例えば集合$X$から$X$自身への写像$f$について、$f^2(x)$は普通$f(f(x))$の意味で使われるよ」生「へえ」私「でも、三角関数の場合には事情が違っていて、$\sin…

基本対称式と差積

授業で解いた問題を、生徒さんと一緒に膨らませていたら、面白そうな事実が出てきたのでメモ。 $n$個の変数$x_1,x_2,\cdots,x_n$の基本対称式を$s_1,s_2,\cdots,s_n$とする。つまり、\begin{align*} s_1&=x_1+x_2+\cdots+x_n \\ s_2&=x_1x_2+x_1x_3+\cdots+x…

今日の授業

今日は二コマ授業。一つ目の授業では二つの閉曲線がホモトープかどうかであれこれ議論し、最終的にコーシーの積分定理に帰着させて解決することができた。といってもかなりの部分は生徒さん自身の手によって進められていて、頼もしい。 もう一つの授業は、群…

Poissonの和公式の感覚的な導出

前回の記事では$\sum_{n=-\infty}^{\infty} q^{n}$のデルタ関数としての解釈について書いたが、$q$は周期$1$なので、実数全体では各整数上のデルタ関数、すなわち\begin{align*}\sum_{n=-\infty}^{\infty} e^{2\pi inz}=\sum_{n=-\infty}^{\infty}\delta(z-n…

今日の授業

整数論で出て来る関数について、歴史的には物理的なところから出発していることを説明したところ、お客様に興味を持って頂けたように思う。 物理的な背景についての自分自身の理解は浅いものの、やはり感覚的な理解が伴いやすいので、これからも機会があれば…

$\sum_{n=-\infty}^{\infty} q^{n}$のデルタ関数としての解釈

前の記事では初期条件として$\theta(x,0)=\delta(x)$、つまり$x=0$で温度が無限大、それ以外で$0$としたときの温度$\theta(x,t)$が満たす熱伝導方程式 \begin{align*}\frac{\partial^2 \theta}{\partial x^2} = 4\pi \frac{\partial \theta}{\partial t} \en…

テータ関数と熱伝導方程式

リーマンゼータ関数の第二の積分表示に用いられるテータ関数$\theta(t)$\begin{align*} \theta(t) =\sum_{n=-\infty}^{\infty} e^{-n^2 \pi t } \hspace{5mm}(t>0)\end{align*}は、熱伝導方程式と関係がある。これはよく知られた事実だと思うが、自分ではい…

いくつかのギリシャ文字がうまく表示されない

\(\alpha\), \(\beta\), \(\gamma\), \(\delta\), \(\epsilon\), \(\varepsilon\), \(\zeta\), \(\eta\), \(\zeta\), \(\theta\), \(\vartheta\), \(\iota\), \(\kappa\), \(\lambda\), \(\mu\), \(\nu\), \(\xi\), o, \(\pi\), \(\varpi\), \(\rho\), \(\va…

今日の授業

ルービックキューブと群論の関係についてDaniel Bumpが書いた http://sporadic.stanford.edu/bump/match/rubik.pdf を生徒さんと一緒に読む。 群の基本的な話をしたり、交換子群の性質について考えてもらったりしたが、「群」という抽象的な数学的対象が、ル…